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2019年05月19日
ブログ

「金融ジェロントロジー」を学んできました

「ジェロントロジー」というワードをご存知ですか?最近よく耳にする「老年学」とか「加齢学」と言われます。発達心理学から派生した老齢期の加齢に基づいた行動・金融・投資・労働などについて考え、本人はもちろんのこと本人以外もともに対策を考えるということでした。日本は高齢社会にも関わらず先進国としては対応が遅れているそうです

人生100年の「金融ジェロントロジー」対応

「ジェロントロジー」、意味を文字にすると学問的で難しく聞こえます。

要するに、老齢期にある自分自身もまた周囲にいる人も、そして企業も、この超高齢社会を無視しては今後の社会経済行動を考えることはできないということです。

人生100年時代のライフプランで暮らすことを考えなくてはならない時代となっているからです。

ただ、100歳を超える寿命を迎えるのは現代の小学生くらいまで(21世紀の人)と言われ、20世紀の人は90代ということがデータでは出ているようです。

2025年問題と言われる我国の現実は、団塊の世代の人たちが全て75歳以上になり高齢化率が30%を超えます。

長寿は悪い事ではありません。

半面、「長寿のリスク」などと言われると、そんなに長く生きることも大変だと考える高齢者は意外に多い事でしょう。

日本の高齢者の多くが金融資産を持っていることもデータとしては出ています。個人金融資産約1,900兆円の7割(約1,330兆円)を高齢者が保有しています。

スゴイです!自分自身が持たざるものなので、これは驚きでした。

それと共に、認知症有病率や生活機能障害も70歳を超えると右肩上がりとなっています。

今後、金融資産を持つ高齢者を対象に、投資会社や家族を含め周りの人は、加齢と認知機能の行動変化を考えた資産運用を考えなくてはならない時代となります。

この長寿・加齢に伴う社会経済の対応を考えるのが「金融ジェントロジー」の役割です。

「金融ジェロントロジー」の考えを持って、高齢者に対応できる人材がまだまだ少ない日本は遅れているとのことです。



高齢化・長寿化が情動社会優位となる現実をとらえる

人生90~100歳時代に、70歳を超えると認知症や要介護状態の人が右肩上がりとなる状態となり、さらに75歳以上でいえば圧倒的に女性比率が高いことです。

(そうなんです、女性は長寿なのです)

加齢により熟慮する意思決定の神経(前頭前野)の機能が低下し、本能や直感的に無意識に判断(大脳辺縁系)することで衝動的で我慢しない人が増えてくるそうです。

(女性は男性に比べて直感的で感情が優先されることが多い~)

これは加齢とともに失われる前頭前野の機能低下とだけは言えなくて、若くてもストレスにより変化し、ワーキングメモリーが失われることもあるそうです。

(けっして女性だけ、高齢者だけではないことも事実)

そして、この「情動」に訴える消費の機会が拡大することもあり、スマホ・ゲームなどの依存症に繋がったり、また振り込め詐欺に引っかかることも多いと言われます。

(高齢者が周りが驚くほど何かに夢中になっていたり感情に振り回されることもありますね)


最近の政策動向、高齢社会対策大綱(H30.2.16閣議決定)においても、

「高齢投資家の保護について「金融ジェントロジー」の進展を踏まえ、認知能力の低下などの高齢期に見られる特徴への一層の対応を図る。」

とあります。

加齢行動経済学の仮説

加齢に伴う認知機能低下が資産選択に与える影響

◆少なくなった認知機能をより節約して判断するようになる
表現の仕方によって決定が左右される
これまでの経験に依存して判断する

◆加齢により多くの選択肢への対応が難しい
シンプルな少ない選択肢を選ぶ(若年層の半分くらい)

◆意思決定を延期するまたは選択しなかった後悔をしない
いったん保有したものは手放したくない

◆肯定的な感情的できごとや情報を記憶し、ネガティブな情報を忘れる傾向
ネガティブよりもポジティブの影響を強く受ける

客観能力以上に自信過剰になる

◆将来を展望するよりも過去を振り返る視点に立つ
意思決定のタイミングの遅れ(資産・事業承継、資産管理、空き家)

「わかりやすい説明」「大きな文字、親切、丁寧」を超えた心身を理解した対応や
工夫が必要

この加齢行動経済学の考えは非常に参考になります。

金融ジェンロントロジーの考えを取り入れる

認知機能とは、外部から情報を取り入れ、分析し、意思決定を行い、行動に移す機能であり、この認知機能が十分であれば合理的な意思決定ができるのです。

そして、この判断力を失った人は成年後見で対応します。

金融機関との取引なども耳が聞こえにくくなって電話では通じにくくなったり、足腰が弱り、銀行に出向くこともできにくくなることが増えます。

また、認知が進行したときに金融機関でパスワードや指紋を認証できないこともあるかもしれません。

金融機関は、高齢者が直接取引する機会を奪うことになっているのではないかと対応を考える必要があります。

イギリスでは記憶するということで口座管理をしないで、声や家族との連携で出来るような対応を始めたとのことです。

そして問題は、これからの高齢化社会には認知機能が十分ではないが、しかしまだ成年後見の対象でもない人が増加するということです。

その理由は、認知症発症は約2.6年前から自分の記憶障害を認識しなくなったり、本人は家族の評価よりも自信過剰の人のように見え、バイアスがかかることになり、他人もその状況が見分けにくなってくる。

投資会社などは、高齢投資家に対する倫理的な責任のあり方を問われ、高齢者の心身の状態を理解したうえでの取引契約をしなくてはならないことです。

大手企業では、金融ジェントロジー研修も積極的に行われており、アドバイザーを育成していますが、日本では遅れたスタートとのことです。

今回はファイナンシャルプランナーとしてこの研修に参加させていただきましたが、宅建業者としても、今後は高齢オーナーさまの資産寿命を延ばすことやご相談を受けるにあたり、不動産業界も積極的に「金融ジェロントロジー」の対応が必要であると考えました。

年金生活をする方もリスケジュールの対応で乗り切る

個人資産の70%を高齢者が持っているといっても、中には年金だけで暮らさざるを得ない高齢者も多くいます。

この先、年金で長い高齢社会を暮らしていく事に不安を覚える気持ちもよく理解できます。

では、資産を持たない年金高齢者は今後どうすればよいのでしょう。

現在はデフレで暮らせるだけの年金をいただいている方も何とか暮らせるかもしれません。

年金はインフレ連動しますがマクロ経済スライド制でもあり、介護保険もかなりの金額が差し引かれます。

ゆえに、実際に手にする年金額は将来的に増えることはなく、むしろ減る可能性も考慮しなければならないかもしれません。

老後にと、取っておいた退職金も取り崩さなくてはならないかもしれません。

この時点でリスケジュールをして、定年後も働ける人はできる範囲でパートタイムでも再就職して、稼いでおく必要があります。

企業の定年も先延ばされて65歳~70歳、政府は70歳定年とも言っています。

これまで頑張って働いてきたのだからと仕事を辞してしまうことなく、ワークライフバランスを考慮した仕事に就くことも社会とのつながりを保つには良いことと、前向きに考えることが大切です。

一律に加齢=認知機能低下と考えることなく、社会参加がむしろ頭をつかう一助になると考えることです。

いつかは自分も「老化と向き合う」

日々、どのように老化と向き合うか?

生涯発達心理学の研究者、ポール・バルテスが提唱することは、高齢のピアニストが曲目を絞り込んで練習することで高いパフォーマンスを維持しているように、「選択」「最適化」「補償」から補償をともなう選択的最適化理論」の考え方がよいと思いました。

①心身面の老化で活動が制約されるので、できる活動を選択する

②効率的にエネルギーを費やす最適化を図る

③活動が達成できるよう不足分を補償で補う

これを資産の運用・管理に応用すると、

①自分でやるべきことは何か?

②「自分がすること」「他人や道具に任せること」を組み合わせ見える化とサービス

③自分の代わりに他のサービス道具・技術などで出来ることは何か?

このことを意識し、自分を客観視できるような生活をする。

自分ができなくなることを任せられる組織や人・技術などに委ね、家族と十分なコミュニケーションをとることで、大きな間違いを起こさないよう対策をとることが大切でしょう。

我が家もまだ夫婦現役ですが、自分もいつかはと考えることができる日々でありたいです。

家族には、おかしな兆候があればはっきり言ってもらうように願っています。

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