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2019年07月18日
大家さん応援ブログ

貸主からの期間内解約には借地借家法が優先されます

大家さんが、賃貸で貸しているアパートやマンションを建て替えたいと考えた時、賃借人に退去を求めると思います。では、何か月前の退去の予告が有効に認められるでしょうか

原則となる「民法」の規定による双方の解約の申し入れ

【民法617条】(期間を定めない賃貸借の解約の申し入れ)

 当事者(賃貸人・賃借人)が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者はいつでも解約の申し入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申し入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。

一 土地の賃貸借 1年

二 建物の賃貸借 3か月

三 動産及び貸席の賃貸借 1日

上記のように民法では、「期間を定めない賃貸借契約」はいつでも解約の申し入れができ、建物の解約の申し入れの日から3か月の経過を持って終了するとされています。

したがって、3か月の予告を持っていつでも解約することができる事になり、しかも、「各当事者」ができると定めていますので、民法上は、賃借人だけでなく、賃貸人も3か月の予告を持って期間内解約ができるかのように読めます。

【民法618条】(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)

 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方または双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。

「期間内に解約をする権利を留保」とは、期間内解約をすることができる事を合意したという意味です。したがって、建物賃貸借契約において、期間内解約条項を設けた時ということです。

つまり、「期間の定めのある賃貸借契約の解約」であっても、期間内解約をすることができ、この場合も【617条】が準用され3か月の予告を持って期間内解約をすることができるということです。

ただし、賃貸人の解約権には民法に優先される借地借家法

賃借人(借主)の解約については、「期間内の解約条項」がある場合、条項に基づき解約は認められる。

しかし、賃貸人(貸主)の場合には、民法の特則によって、解約は制限されています。

この民法の特則とは「借地借家法」であり、これは強行規定です。

【借地借家法27条】
 賃貸人が建物賃貸借の解約を申し入れた場合には建物の賃貸借は解約の申し入れの日から6か月を経過することにより終了する

【借地借家法28条】
 賃貸人による建物賃貸借の解約の申し入れは正当事由が無ければ解約することができない


したがって、賃貸人による期間内解約は、期間内解約条項の文言通りには効力を生じないことに注意が必要です。

正当事由というのが、なかなか厳しい。

貸主の解約には正当事由が必要

更新拒絶通知と解約の申し入れにはいずれも「正当事由」が必要。

<正当事由>
①建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む)がそれぞれ当該建物の使用を必要とする事情
②建物の賃貸借に関するこれまでの経過
③建物の利用状況
④建物の現況
⑤建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として立退料の支払いを申し出た場合にはその申出
を総合的に考慮して、更新の拒絶または解約の申入れに正当の事由があるかを決める。

これを踏まえて、貸主から賃貸借契約を終了させる方法としては

●借主の合意を得る。
●借主の合意が得られない場合において、契約期間の定めがある賃貸借契約の場合は【更新拒絶通知】を出す。
●借主の合意が得られない場合において、契約期間の定めがない契約の場合は【解約の申入れ】を行う。

借主の居住が守られる借主有利は、貸主としてはあらためて、覚えて確認しておきたい事項です。

十分な話し合いで借主に納得、合意してもらって解約というケースでなければ、後々面倒がおこる可能性も否定できません。

人は、されて嫌なことはいつまでも覚えているものです。

長い人間関係を崩すことなく解約するには、無理をすべきではないかもしれません。

「急いては事をしそんじる」ごとく、大切なことほど急ぐべきではなくじっくり時間をかけるということでしょうか。

 

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